デング熱にかかったら

目次

この記事を読むと…

日本人がタイでデング熱にかかるとどうなるかわかる。

3行まとめ

デング熱にかかると下痢、倦怠感、食欲不振の状態で入院。

仕事を1週間半くらい休むことになり、お金もかなりかかるし、

もうマジで2度とかかりたくないよ。奥さんお世話してくれてホントありがとう。

デング熱の恐ろしさ

名前と蚊を媒介とする熱帯の病気という観点から、ひどい熱に1週間ほど悩まされるイメージがあるが、熱自体は3日程で治る。熱は大したことはなかったのだ、熱は。

デング熱の恐ろしさは「血小板の数が低下する」、「肝臓へのダメージ」、「下痢による水分の不足」である。順番に説明させていただきたい。

血小板の数が低下する

賢い皆さんは理科の授業の記憶がまだあると思う、血小板は出血時に血を止めてくれる役割を持つ血液の成分の1つである。

この数値は通常140,000~400,000だが、2~3割の20,000~50,000まで減る。つまり出血すると止まらない、出血性ショックとかになる。これが入院を勧める1番の原因だそうだ。お医者様曰く「ショック死とかされると困るし、家での怪我に割と不用心なんだよね。」とのこと。

どのくらい出血に気を使うかというと、「歯磨きをさせてくれないぐらい」である。つまり、たまにやっちゃう歯ブラシで強く擦ったせいで歯茎から出血する、それすら命取りということ。

加えて、「黒色、赤色の食べ物、飲み物は控えるように。」と言われる。これは便に血が混ざっていた際はそれを見逃さないようにするためらしい。かなり徹底される。痔の方とかどえらい騒ぎになりそう。

要するに小さな傷でも命取りになるゾ。ってことです。

肝臓へのダメージ

賢い皆さんは理科の授業の記憶がまだあると思う、肝臓には様々な役割があり、その1つに血液中の有害物質の解毒がある。

デングウィルスに侵された私たちの体は肝臓がフルパワーでその毒を解毒しようとする。すると肝機能にかなり負荷をかけることになる。通常40が正常な肝臓の数値が550とかになる。看護師の母曰く「アナフィラキシーで運ばれてきた患者の数値と同じくらいだね。」とのこと、結構ヤバい数値。(もちろん個人の病状によるけど、、)

そうなるともう食事が喉を通らない。空腹感など全くなくなる。少しでも食べようとすると「オェぇ、、」ってなってしまう。肝臓はエネルギーの貯蓄もしてるんだが、彼からすると「いや、忙しくてそれどころじゃないんすわぁ!」ってことだと思う。ごめんな無理させて。

これはもう体験しないとわからないと思う。実際にうちの奥さんは食べるの大好きなので、私をみて「何か食べないとダメよ。」とか言ってくるけど、「しゃらくせー!食えねぇんだよ!いやそんな不思議そうな顔すんなよ!」てな状態になる。

下痢による水分不足

そして解毒したものを外に出すため、どえらい下痢に悩まされる。汚くて申し訳ないが、もう噴水のような下痢。これが一番辛かった。1日に27回(数えた)昼夜問わず、トイレに駆け込む。

そうなると水分が不足するので常に点滴で水分補給となる。トイレまで点滴スタンドを携えて急がないといけない。間に合わないこともある。

加えてゲートもバカになるので、私はパンツの着用を諦めてオムツを装備していました。ベッドを汚してシーツを変えてもらうのも忍びないので。

病状の経過

デング熱の脅威はご理解いただけたと思う。次にどんな感じで進行するのかを私、えてこうの場合で確認いただきたい。

奥さん友人(タイ人)にもデング熱に感染した方が2人おり、大体似たような様子だったと確認が取れています。

Day1~3 自宅

Day1(金曜日)

18:00頃、職場で体の異変を感じる。悪寒(おかん)がする。

蒸しタオルで体を拭いて、早めに就寝。この時点で38.0℃。

Day2(土曜日)

ベッドから起き上がれない38.5℃。お粥と水分補給のみ。下痢が始まる。

明日も熱が引かない場合は病院へ行くことを奥さんに約束する。

Day3(日曜日)

熱は引いて37.0℃、ひどい倦怠感。食欲なし、水分補給のみ。

病院で採血、デング熱と判明。入院一泊20,000Bと告げられ、別の病院への変更をお願いする。

自宅で過ごすが下痢でほぼ寝れず。

Day4~8 病院

Day4(月曜日)

プリンスワンナプーム病院へ10時頃到着、採血やら手続きで3時間かかりながらも入院用の個室へ。

入院生活開始、点滴が開始される。血小板数値減少。

Day5(火曜日)

倦怠感、1日の半分は寝ている。もう半分は多分トイレにいるみたいな感じ。

血小板、白血球ともに数値減少。肝臓の数値高くなる。

Day6(水曜日)

食べ物を見たくなくなる。食欲が全くない。

体調変わらず。血小板の数値が変化なし。底打ちか。

退院を希望したら、血小板の数値が元の水準に戻るまではダメとのこと。

Day7(木曜日)

夜半にひどい腹痛。消化器の中で出血がないか確かめるためにレントゲンをとる。

白血球の数値は元通り、血小板の数値は少し改善。一方で肝臓の数値は500を超える。

Day8(金曜日)

肝臓の疾患を確かめるために血液検査、エコー検査を行う。問題なし。

血小板は通常値手前まで回復。肝臓の確認のため6日後に通院できるなら、退院してもいいとのこと。

無事に退院する。

お金のこと

やっぱり大事なお金の話、今回は私立病院かつ個室でかなり費用がかかっています。しかも無保険です。

総額66,272.00B

ざっくり内訳は以下です。個室、私立病院でこんな感じ。

薬代 9,000B
看護費6,000B
一括診療料代金 1,650B
医療品代1,700B
検査費 14,800B
医療機器使用量 2,000B
レントゲン等 6,800B
診断等 13,000B
入院費 8,250B
食事代 3,000B

多分それなりに普通のコストだと思います。タイ人でもそんなもんだって言っていましたので。

ただ、なんちゃってですが私は英語を話すので、お医者さんやスタッフとの会話、説明が英語でできる等の条件でこんな感じです。日本人通訳アリでとかなると跳ね上がると思いますので、御用心を。

サービスはどんな感じなのか、、、ぶっちゃけ日本で入院したことないのでわからないんですが、、、

ちゃんとしてる方だと思います。もちろん「おい、待ってくれ。」ってこともありましたが。

例えば、スタッフさんによっては全く簡単な英語も通じなかったり、(これは私のタイ語が不足してるのも反省ポイント)

体を拭いてもらう際エアコンの効いた中、洗面器の冷水でビシャビシャにされたり、(別のスタッフはちゃんとお湯だった)

サイドテーブルを元の位置に戻してくれなかったり、(これも個人差あるよ)

検査するぞって言われた時間に現れなかったり、(焦るからやめてくれ)

点滴や採血の針がうまく入らなかったり、(めっちゃ針入れやすいって献血の際は人気だったんですが、、、)

けど基本的に問題ない水準だと思いました。お医者さんの英語の説明もクリアで聞き取りやすく、奥さんにもタイ語で同時に説明してくれたり、図解してくれたり、選択肢を出してくれたりね。

日本人にできる対策

正直、今回の私は恵まれていました。

奥さんがタイ人かつ仕事の時間に都合がつくので、ほぼつきっきりで看病してくれましたし、入退院の手続きも頼りっきりでした。感謝しかありません。ありがとう。

これが自分1人だけ、しかもあのHP残り10%みたいな状況で病院まで行って、英語の書類読んで、スタッフさんの説明聞いてとかかなり辛い。てか、無理です。

しんどい時に英語の説明聞くのマジしんどい。「もうどうでもいいから速く!なんとか!してくれ!」ってなりますからね、以前に食中毒で病院に行った際は、それでバカ高い料金になりました。その時は保険に入っていたのでまぁなんとかなったけれども。

保険に入る

これは非常に議論になる部分ですが、保険は結局入っていた方がいい気がします。月1,000BだとしてもPAYする。

加えてデング熱は一番可能性が高い、入院コースの病気だと思います。過去に日本人学校の同僚が2人デング熱にかかり、まず使い切らない保険料の上限を超えたことで、現地採用の保険に新たな選択肢ができたくらいです。

海外で何があるかわからないのは確かですから、バイタクで事故って骨折したり、野犬に噛まれたり、床が抜けたり。全部実話です。

蚊に刺されない

現時点では有効なワクチンはないので、デング熱の対策はもうこれにつきます。ど正論です。

とは言っても熱帯のこの国ではどうしても蚊とは離れられない。ならばせめて旅行で地方に行った際は特に気をつけましょう。

もちろんバンコクでも普通に感染するリスクはあるんですが、地方の方が圧倒的に症例が多いです。感染者の血を吸った蚊が媒介になるので、症例の多い地方では確率が上がるのは間違い無いです。

私などは成人男性ということもあり、死にはしなかったですが、小さいお子さんだと死亡リスクもあります。親御さんは十分に注意してあげてほしいです。

ロキソニンすぐ飲むな

ロキソニン、日本の薬局で手軽に手に入る、超絶優秀な解熱鎮痛剤です。私も愛用しており、世界中どこでも連れて行きます。カバンの中には必ず入っています。しかしデング熱では重症化の引き金になります。

解熱鎮痛剤としてサリチル酸系統のものは出血やアシドーシス(血液中に酸や二酸化炭素が過剰に増える、人体にとって有害な状態)を助長するため、子どもにも使えるアセトアミノフェン系を使用することが望ましい。またデング熱が疑われるときに自己判断で市販の解熱剤を使うのは、出血症状のリスクを高めるので避けてほしい。

Doctors file より抜粋 (https://doctorsfile.jp/medication/29/)

私はタイにカロナールとロキソニンを両方持ってきて、疑わしい場合はカロナール飲むようにしています。ロキソニンも便利なのでやめられませんが、危険なので皆さんはやめておいた方がいいと思います。今回はギリ飲まなかった。いや危なかった。

現場からは以上です。誰かの役に立てば幸いです。

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